アドバンド株式会社

顧客管理 IT活用のススメ ~セールス編①~

18.03.12
顧客管理 IT活用のススメ ~セールス編①~

顧客管理をシステム化したいが、難しそう―。

そう思う方も多いかもしれないが、実はコストと手間をほとんどかけず、
手軽に導入・運営することができる。
今回は、データベースを通じてビジネスシーンの課題解決の手段を提供する
㈱パイプドビッツの取締役CMO藤田豪人様をお招きし、システム導入の効果や
メリットを伺った。



情報をいかに活用できるかが今後の業務効率を左右する

司会 本日はよろしくお願いします。早速ですが、御社がお客様の課題に対して
どのようなソリューションを提供されているのか、お聞かせください。

藤田 当社では、「SPIRAL®」という顧客情報をはじめとした、さまざまなデータを
安全に管理・活用できる情報資産管理プラットフォームを提供しています。
データベースを中心に、情報を利用するための各種機能・外部連携のAPI※を用意し、
情報を活用できる環境開発を行っています。
そして、お客様の大切な情報をSPIRAL®で有効活用できるサービスを提案しています。
データベースというと顧客情報をイメージされると思うのですが、製品データや
在庫データ、業績管理、人事、また、教育機関では学生の出欠管理なども
取り扱っています。

司会 私どものようなB to B 企業に限ると、どのようなお客様が多いのでしょうか?

藤田 昨今、Webマーケティングに力を入れ始めた企業も多く、業種は幅広いですね。
元々、B to B 企業は営業マンが汗を流して契約を取ってくるというスタイルが多く、
各人のモチベーションによって売上が左右されるため、バラつきが多く非効率でした。
ところが、時代の変化とともに、「顧客情報を上手く活用する」という流れに
移行してきたことから、導入企業が増えているように思います。

司会 販売促進において顧客管理は重要ですね。
我社の場合、SPIRAL®を導入する以前は、顧客数も限られていて、
エクセルで管理していたのですが、リスティング広告の運用を始めた頃から
問合せも増え、必要性を感じ始めたことが導入のきっかけでした。
セミナーに参加し、データベースがあれば、顧客管理が効率化されるだけでなく、
メールマガジンの発行なども簡単にできると知り、2011年に導入を開始しました。
手探りではあったのですが、自らサポートデスクに問い合わせながら操作して何とか
形になりました。
現在は、問合せリストが1000社以上となり、早期に導入して良かったと思っています。
あのままエクセルを使っていたらと思うとゾッとします(笑)。
B to B 企業がデータベースを導入することの具体的なメリットとは何でしょうか?

藤田 B to B に限りませんが、やはり「何のために情報を使うの?」という点が
ポイントです。データベースは実にさまざまな用途があります。
1つは、先ほど言われていた通り、「問合せが増えてきた」という営業接点の管理です。
B to B 企業は、大量の顧客と薄く接触するB to C 企業とは違い、
同じお客様と何度も長く接触し続けることになります。
問合せをはじめ、サービス利用中のカスタマー対応、Webサイトでの
コミュニケーション、セミナーなど、実は色々な場所で接触をしているのですが、
それを営業部内でうまく共有できていないケースも多い。
これは、情報が散在していることが主な原因です。
きちんとデータベース化して、誰がどこでどう接触しているかを事前に知り、
顧客のニーズを分析できれば、必要なサービスを適切な時期に提供でき、
フォローのタイミングもつかめます。勘や経験、あるいは度胸と勢いで
乗り切るようなこれまでの営業スタイルでは、成果が上がりづらくなっています。

司会 なるほど。営業も属人的なスキルに依存するのではなく、データを有効活用
すれば、部門全体の効率化にもつながるということですね。

藤田 新規開拓にやたらと投資するのではなく、まずは顧客管理を徹底しておくことが
重要だと考えます。

司会 例えば、B to C で通販をやっている会社の場合、数十万人の顧客リストを
扱うので、システムを導入するのは当然ですよね。
以前、通販でワインを買ったのをきっかけにDMやメールが届いたことがあって、
上手い方法だと感心しました。逆に、不動産仲介なんかだと、これまでに
9回ほど引越しを経験しているのですが、2年後の更新時に
「引越しをお考えではないですか?」などの連絡は来たことがなくて。
仕組みがなく、営業マン任せになっている業界の典型ではないかと思います。
必要なときに連絡があれば、関係性が続くと思うのですが。

藤田 とてももったいないですよね。人口が増え続けていた時代の
「新規顧客を開拓し続ける」というビジネスモデルに執着するより、
顧客にとって大事なタイミングで接点を持ち関係構築をしていくことが
何より大事ですから。

司会 データベースの導入によって、部署ごとの仕事にはどのような変化が
あるのでしょうか?

藤田 例えば、マーケティング系の部署で考えると、きちんとデータベースを
作ることで、現在接触していない、いわゆる「今すぐ客」でない顧客との関係性を
継続できます。Webサイトの中に足跡が残るので、どのようなニーズがあるかは
蓄積され続けます。これを営業に引き継げば契約率も上がりますね。
このように、営業活動をサポートできる点が大きい。
また、クレームは最大のチャンスといいますが、過去の履歴を全て一元管理して
共有することもできます。一般的に営業マンは離職が早く、
人の入れ替わりが激しいため、引継ぎをスムーズに実施するには
データベースに情報を蓄積しておくことが必須です。新人が入社した際、
「この内容で提案をしたらいい」「この顧客にはそろそろ連絡した方がいい」と
上司がサポートできます。「とにかく契約を取ってこい」というアナログな
指導方法ではなくなり、教育体制も変わってくるはずです。

司会 確かに、仕事のやり方も変わりそうですね。
いま、マーケティングオートメーションが流行っていますが、お客様がWeb上に
残した足跡を分析して可視化するのはなかなか労力のかかる作業だと思うんですね。
十分な人材のいる大企業では、専任を充てることもできると思うのですが、
中小企業ではなかなか難しい。
まずは、データベースの基盤を構築することから開始して、企業の成長に伴い
機能を付加していくのが現実的な方法だと思います。
当社の場合も、データベースに情報を更新していく程度ですが、十分に
機能しています。
例えば今後、「このお客様については、何ヵ月後にもう一度フォローしよう」
ということを自動的にメールでお知らせしてくれるようなこともできるのでしょうか?

藤田 可能ですね。「そろそろ連絡したほうが良いですよ」というアラートメールを、
自由に期間を設定し飛ばすことができます。

司会 経営側がデータベースを活用することで得られるメリットは何でしょうか?

藤田 最も大きなメリットは、無理・無駄の削減、効率化です。
労働生産人口が減少してきている中で、採用活動でなかなか人が採用できずに
苦戦している企業が増えています。その点でも効率化は非常に重要です。
特に営業部門では、引継ぎの無駄をなくすことがポイントです。
もう一点、採用が困難になり、新人教育に関しても、早期戦力化が大きな課題です。
「経験してこい」「とにかく現場に行ってこい」というスタンスの教育方法を
変えなければなりません。
また、本来は売上に貢献する重要顧客・優良顧客、ポテンシャルあるお客様のところへ
訪問すべきなのですが、個人の好き嫌いで訪問先を決める営業マンもいる。
誰が取引すべき重要顧客かを理解できていないと、足を運んでも無駄になってしまいます。逆に可視化すれば「お客様への訪問回数と利益が合っていない」というのが
すぐに分かるので、営業効率の改善にもつなげられます。


※API… Application Programming Interface
(アプリケーションプログラミングインタフェース)のこと。
ソフトウェアコンポーネントが互いにやりとりするのに使用するインタフェースの仕様。

セールス編②へ続く。

 
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