アドバンド株式会社

売れるお店、売れないお店。セグメント・ニッチ戦略で顧客を選ぶ勇気を!

15.10.28
売れるお店、売れないお店。セグメント・ニッチ戦略で顧客を選ぶ勇気を!

飲食・流通を中心に、サービス業の不況が深刻化しています。

デフレに加え消費行動の多様化、さらに消費税増税の影響を受け、コモディティ商品では売上増加が難しい状況となっています。

ますます消費の二極化が進行するこれからの時代、企業がとるべき戦略について考えてみました。


デフレ下におけるプライシングの難しさ

売り手(企業)に地獄、買い手(消費者)に天国─。これがデフレ時代の特徴だ。

売れないから価格を下げる。利益が出ないので人件費を削る。
すると需要が減少し、さらにデフレが加速する。

こういったデフレ・スパイラルに追い打ちとなるように、消費税増税や穀物など原材料費の高騰が拍車をかけている。
商品価格への転嫁は、事実上困難なのが現状だ。

たしかにプライシングは、売上や利益に直結する重要なポイントだ。
ところが価格を安くしたからといって、売上が伸びるとは限らない

特に日本の消費者は世界一といっていいくらい、サービスには敏感で、目や舌は非常に肥えている。
つまり、“安く”ても“良い”モノでなければ売れないのだ。


その一方で購買基準の二極化により、売れ行きが好調な一部の高額商品もある。

大企業が運営する大規模店舗などでは、品ぞろえを良くし、幅広い価格帯の商品を扱う方がよいかも知れない。
しかし、中小企業の店舗では、むしろ高価格帯か低価格帯に絞った方が、コンセプトや立ち位置がぶれず、固定ファンがつくだろう。

売上を重視せざるを得ない大企業よりも、顧客セグメントを徹底して利益を重視できる分、中小企業の方が優位に立てる可能性が高いかも知れない。


顧客を選ばない店から、顧客を絞り込む店へ

居酒屋やレストランなど、大手外食チェーンの売上不振も非常に深刻だ。

これまで幅広い顧客層にさまざまなメニューを提供してきた方法は、中流層をターゲットとしたやり方であり、業態の変化が求められている。
同じやり方では、今後ますます苦戦を強いられるだろう。

外食産業においても、店舗の少ない中小企業の方が、ニッチで勝負できる分勝算が高い。
ただしこれは、顧客や商品を絞り込む勇気があるかどうかにかかっている。

例えばイタリアンなら、「国産のこだわりチーズしか使わない」「ドリンクはワインだけ」「学生の来店は不可」「喫煙は不可」などハードルを設けた方が、一定のファンが付き利益を出せるだろう。
つまり、「イタリアンなら絶対に○○に行こう!」と思い出してもらえるくらい、大胆な個性と演出が必要となる。



以前は「顧客を選ばない」のが儲かるお店だったが、今は「顧客を選ぶ」店の方が繁昌している。
顧客をセグメントし、ニッチな分野で差別化できる戦略を持つことが、企業には期待されている。

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