販売促進人材戦略 企業再生の “切り札” 生まれ変わるためのインナーブランディング【イントロ 2】 18.04.20 インナーブランディングのポイントを押さえよう!前編でご紹介した通り、さまざまなメリットがあるインナーブランディングだが、実施するうえで注意すべき点が2つある。1点目は、一朝一夕で効果が出るわけではないこと。インナーブランディングは、さまざまなバックグラウンドを持つ社員に対し、理解を促し行動してもらうための施策。それゆえ、一定の期間を経る必要がある。人の考え方や行動は、そう簡単には変わらない。じっくりと時間をかけて幅広い角度からアプローチし、ようやく成果が得られるものだと肝に銘じる必要がある。2点目は、一方的に押し付けるだけでは効果がないこと。経営理念や行動指針を記したクレドカードを配布し、朝礼などで唱和するのは少し前に流行した手法だが、効果を得られた企業は少ないようだ。それは、経営層だけで作成したインナーブランディングの経緯や意図が、末端の社員まで浸透していないことが主な原因。指示・命令で動かそうとするのではなく、社員一人ひとりに意味を理解してもらい、〝自分事〟として自ら考えさせることが大切だ。ここで、インナーブランディングによって生まれ変わった、NTTドコモの事例をご紹介しよう。2007年当時、ドコモは電電公社時代の名残である官僚体質からの脱却が課題となっていた。au、ソフトバンクとの競争に勝つためには、お客様目線で行動をするように社員の意識を変える必要があったのだ。まず行ったのは、コーポレート・ブランディング本部の拡充。新たな人員を投入するにあたりドコモが行ったのは、「任命式」と呼ばれるイベントである。コーポレート・ブランディング本部に異動した証として、社長が自ら社員に任命書を手渡し、しっかりと握手を交わした。ドコモほどの大企業となれば、上層部と直接話したことのない人がほとんど。だからこそ任命式を行うことで、社員に「自分は社長直轄の重要なプロジェクトに関わるのだ」と猛烈に意識させることを狙った。その他にも数々の取り組みを実施し、3年間かけて全地域顧客満足度1位に返り咲くことに成功。インナーブランディングによって組織が活性化した結果が表れたのだ。ケーススタディ ~ スターバックス編 ~若者を中心に幅広い年齢層に人気のカフェ『スターバックス』では、長年インナーブランディングを徹底している。その根底にあるのは「社員が満足していない会社ではお客様を満足させることはできない」という考え方。広告にほとんどお金をかけない代わりに、人材育成に時間とお金を費やすことでブランド力を高めているのだ。研修制度も充実しているが、各従業員の自主性を重視するためにマニュアルはなく、代わりに「グリーンエプロンブック」が配られる。これは、「歓迎する」「心を込めて」など、スターバックスが大切している5つの行動規範とそれを達成するためのヒントが掲載された冊子だ。それぞれの意味を自分なりに考え、お客様に満足していただける接客を実践することで、高いブランドイメージを実現しているのだ。グリーンエプロンブックによって「自分たちは何のために仕事をしているのか」を常に社員に考えさせ、顧客満足を維持しているスターバックスの取り組みは、インナーブランディングの成功事例の一つといえよう。 関連記事 フォント基礎知識 TrueTypeとOpenTypeの違い ”らしさ”は、動画で。~動画の利用が大流行の兆し~【後編】 【マンネリレスキュー 株主通信編】株主通信、いつも同じ内容になってい... 【第3回】勤続表彰って、並べるだけじゃダメなの?【社内報の企画相談】...
インナーブランディングのポイントを押さえよう!
前編でご紹介した通り、さまざまなメリットがあるインナーブランディングだが、
実施するうえで注意すべき点が2つある。
1点目は、一朝一夕で効果が出るわけではないこと。
インナーブランディングは、さまざまなバックグラウンドを持つ社員に対し、
理解を促し行動してもらうための施策。それゆえ、一定の期間を経る必要がある。
人の考え方や行動は、そう簡単には変わらない。じっくりと時間をかけて幅広い角度から
アプローチし、ようやく成果が得られるものだと肝に銘じる必要がある。
2点目は、一方的に押し付けるだけでは効果がないこと。
経営理念や行動指針を記したクレドカードを配布し、朝礼などで唱和するのは
少し前に流行した手法だが、効果を得られた企業は少ないようだ。
それは、経営層だけで作成したインナーブランディングの経緯や意図が、
末端の社員まで浸透していないことが主な原因。
指示・命令で動かそうとするのではなく、社員一人ひとりに意味を
理解してもらい、〝自分事〟として自ら考えさせることが大切だ。
ここで、インナーブランディングによって生まれ変わった、
NTTドコモの事例をご紹介しよう。2007年当時、ドコモは電電公社時代の
名残である官僚体質からの脱却が課題となっていた。
au、ソフトバンクとの競争に勝つためには、お客様目線で行動をするように
社員の意識を変える必要があったのだ。
まず行ったのは、コーポレート・ブランディング本部の拡充。
新たな人員を投入するにあたりドコモが行ったのは、「任命式」と呼ばれるイベントである。コーポレート・ブランディング本部に異動した証として、
社長が自ら社員に任命書を手渡し、しっかりと握手を交わした。
ドコモほどの大企業となれば、上層部と直接話したことのない人がほとんど。
だからこそ任命式を行うことで、社員に「自分は社長直轄の重要なプロジェクトに
関わるのだ」と猛烈に意識させることを狙った。
その他にも数々の取り組みを実施し、3年間かけて全地域顧客満足度1位に
返り咲くことに成功。インナーブランディングによって組織が活性化した結果が表れたのだ。
ケーススタディ ~ スターバックス編 ~
若者を中心に幅広い年齢層に人気のカフェ『スターバックス』では、
長年インナーブランディングを徹底している。
その根底にあるのは「社員が満足していない会社ではお客様を
満足させることはできない」という考え方。
広告にほとんどお金をかけない代わりに、人材育成に時間とお金を
費やすことでブランド力を高めているのだ。
研修制度も充実しているが、各従業員の自主性を重視するために
マニュアルはなく、代わりに「グリーンエプロンブック」が配られる。
これは、「歓迎する」「心を込めて」など、スターバックスが
大切している5つの行動規範とそれを達成するためのヒントが掲載された冊子だ。
それぞれの意味を自分なりに考え、お客様に満足していただける
接客を実践することで、高いブランドイメージを実現しているのだ。
グリーンエプロンブックによって「自分たちは何のために仕事をしているのか」を
常に社員に考えさせ、顧客満足を維持しているスターバックスの取り組みは、
インナーブランディングの成功事例の一つといえよう。