人材戦略企業経営 インナーブランディングのための秘密兵器「理念ブック」とは!?【後編】 19.06.26 前編では、理念ブックの内容や、これを活用し成果を挙げた企業について述べたが、今回は具体的な作り方や使い方について考えてみたい。全員参加で帰属意識UP!制作には3~4か月、長くて1年ほどの期間を要する。具体的な流れは、①プロジェクトチームを編成する② 目標を設定する③ 役員や社員の思いを聞く④ お客様や取引先の意見を聞く⑤ 文章化し配布するというものである。①では、各部署の次期幹部候補をふくむ中堅・若手を中心に、プロジェクトチームのメンバーとして任命する。その後、理念ブックの必要性や、理念を見直す意義を共有する。②では、完成時期や目的、制作後の使用法を明確にする。また、求める成果とともに、その後のPDCAについても検討しておきたい。③では、創業者や役員に、創業時の思い、理念について尋ねる。また、社員にヒアリングやアンケートを実施し、会社への思いや普段意識していることを調査する。④では、顧客目線の考え方を徹底するため、お客様や取引先の意見を伺う。お客様に手間をかけさせないよう、アンケートを利用するとよい。⑤では、まとめたものを文章化し、見映えよくデザインして小冊子をつくり、社員に配布する。制作の過程で社員全員が参加するので、自然と会社のことを考えることになる。つまり、制作段階からインナーブランディングの効果が表れるのだ。掲載内容についてもこだわりたい。一般的には「生産性向上」や「スキルアップ」などのカテゴリーで分けた行動指針、経営理念や社是・社訓、自分の目標や気づきを自由に記入できるページを設けることが多い。さらに定期的にリニューアルすることを前提にし、今期の重点テーマや中長期ビジョンを掲載するのもいいだろう。“配って終わり“では意味がない代表的な使い方として、常に携帯する、朝礼で唱和する、というものがある。理念ブックは作成・配布することが目的ではなく、インナーブランディングを成功させるためのツールとして制作するものだ。社員が目標を記入し、部署やチームで共有。定期的に確認し合う場を設ければ、自然と理念ブックにふれる機会が増えるはず。理念に沿う行動をとった社員を表彰している会社もあるほどだ。つまり、使い方に工夫をこらすことが重要である。さらに、【前編】で紹介したユナイテッドアローズでは、お客様からいただいたお褒めの言葉やクレームの実例から、どのような行動がどのような結果につながるかを、社員一人ひとりが考えてディスカッションし、理念に基づいた行動を徹底する場を設けている。また、理念ブックではないが、クレドカードを利用してインナーブランディングを行っている例として、高級ホテル・リッツカールトンが有名だ。アルバイトを含む全従業員がクレドを深く理解し、これに準じた行動をとることができる。その結果、顧客満足を体現した“伝説”のエピソードが数多く生まれている。「理念ブック」で、社内に一体感を!インナーブランディングは、ただ会社が理念を押し付けるものになってはいけない。会社と社員がお互いにコミュニケーションする必要がある。そのために、理念ブックを活用した取り組みが効果的だ。社内に一体感がないという悩みがある会社は、理念ブックを採用してみてはいかがだろうか。 関連記事 企業再生の “切り札” 生まれ変わるためのインナーブランディング【イ... 提案コンペで、本当に良い制作会社を選ぶことができるのかを考えてみる ぐっと良くなる!デザインのコツ「余白」編 イラレで簡単♪手描きイラストに色をつけてみよう
前編では、理念ブックの内容や、これを活用し成果を挙げた企業について述べたが、今回は具体的な作り方や使い方について考えてみたい。
全員参加で帰属意識UP!
制作には3~4か月、長くて1年ほどの期間を要する。具体的な流れは、
①プロジェクトチームを編成する
② 目標を設定する
③ 役員や社員の思いを聞く
④ お客様や取引先の意見を聞く
⑤ 文章化し配布する
というものである。
①では、各部署の次期幹部候補をふくむ中堅・若手を中心に、プロジェクトチームのメンバーとして任命する。その後、理念ブックの必要性や、理念を見直す意義を共有する。
②では、完成時期や目的、制作後の使用法を明確にする。また、求める成果とともに、その後のPDCAについても検討しておきたい。
③では、創業者や役員に、創業時の思い、理念について尋ねる。また、社員にヒアリングやアンケートを実施し、会社への思いや普段意識していることを調査する。
④では、顧客目線の考え方を徹底するため、お客様や取引先の意見を伺う。お客様に手間をかけさせないよう、アンケートを利用するとよい。
⑤では、まとめたものを文章化し、見映えよくデザインして小冊子をつくり、社員に配布する。
制作の過程で社員全員が参加するので、自然と会社のことを考えることになる。つまり、制作段階からインナーブランディングの効果が表れるのだ。
掲載内容についてもこだわりたい。一般的には「生産性向上」や「スキルアップ」などのカテゴリーで分けた行動指針、経営理念や社是・社訓、自分の目標や気づきを自由に記入できるページを設けることが多い。さらに定期的にリニューアルすることを前提にし、今期の重点テーマや中長期ビジョンを掲載するのもいいだろう。
“配って終わり“では意味がない
代表的な使い方として、常に携帯する、朝礼で唱和する、というものがある。理念ブックは作成・配布することが目的ではなく、インナーブランディングを成功させるためのツールとして制作するものだ。社員が目標を記入し、部署やチームで共有。定期的に確認し合う場を設ければ、自然と理念ブックにふれる機会が増えるはず。理念に沿う行動をとった社員を表彰している会社もあるほどだ。
つまり、使い方に工夫をこらすことが重要である。
さらに、【前編】で紹介したユナイテッドアローズでは、お客様からいただいたお褒めの言葉やクレームの実例から、どのような行動がどのような結果につながるかを、社員一人ひとりが考えてディスカッションし、理念に基づいた行動を徹底する場を設けている。
また、理念ブックではないが、クレドカードを利用してインナーブランディングを行っている例として、高級ホテル・リッツカールトンが有名だ。アルバイトを含む全従業員がクレドを深く理解し、これに準じた行動をとることができる。その結果、顧客満足を体現した“伝説”のエピソードが数多く生まれている。
「理念ブック」で、社内に一体感を!
インナーブランディングは、ただ会社が理念を押し付けるものになってはいけない。会社と社員がお互いにコミュニケーションする必要がある。そのために、理念ブックを活用した取り組みが効果的だ。社内に一体感がないという悩みがある会社は、理念ブックを採用してみてはいかがだろうか。