社会環境報告書IR/CSR 【統合報告書リニューアル】今よりもっとよくするための3つのポイントとは? 22.08.02 企業の財務情報と非財務情報を1冊にまとめた統合報告書。日本では、2021年12月末までに700社以上が発行しており、その数は年々増え続けています。統合報告書は「発行すれば終わり」ではありません。毎年発行するなかで少しずつブラッシュアップしていくことが大切です。リニューアルを考えるにあたり、例えば以下のようなお悩みはありませんか?・支援会社に求めるサービスが変わってきた・情報は詰め込んだものの、読まれる構成になっているか不安・毎年同じ見せ方になってしまい、マンネリになっている・印刷するのをやめて、Webサイト上での公開のみにしたいこの記事では、これらの悩みを解決するために見直すべき3つのポイントをご紹介します。①自社の制作フェーズに合った支援会社を見つけよう②コンテンツを見直すときは「自社らしさ」と「重要度」に気をつけよう③利用シーンを考えて、最適なアウトプットの形を選択しようそれでは、それぞれ見ていきましょう!①自社の制作フェーズに合った支援会社を見つけようそもそも統合報告書の制作には、大きく分けて2つの段階があります。1つ目の「明文化」フェーズは、マテリアリティの特定やESG視点での情報整理といった、冊子に入れるコンテンツを用意する段階。社会課題に対して、自社のあるべき姿をイメージしながら事業の全体像をあらためて考える必要があり、コンサルティングが得意な支援会社に協力を依頼します。一方、「具現化」フェーズは、明文化フェーズで集めた情報をもとに、ページ構成や見せ方を考える段階です。ここでは、企画・表現力に優れた支援会社による、高度なクリエイティブスキルが求められます。過去に統合報告書を発行しているのなら、おそらくフェーズ1の「明文化」は完了していて、フェーズ2の「具現化」に課題を感じている場合が多いはず。フェーズに適した支援会社を選ぶことが、リニューアル成功への近道です。なお、支援会社は主に、「売る・考える・創る・造る」という4つの機能のいずれかを持っています。例えば、広告代理店や編集会社は、「売る=営業」機能に強みがある会社です。IRコンサル会社が強いのは「考える=構想」部分で、デザイン会社は「創る=開発」が得意分野。最後の「造る=生産」に強いのは、印刷会社です。自社の課題や制作体制に合わせて、最適なパートナー会社を見つけましょう。②コンテンツを見直すときは 「自社らしさ」と「重要度」に気をつけよう統合報告書では、財務・非財務情報をしっかり開示することが大切です。そのためのコンテンツの洗い出しに使えるのが、IIRCの「国際統合報告フレームワーク」や経済産業省の「価値協創ガイダンス」といったフレームワーク。初めて制作する際は、これらのフレームワークに沿って作ると、必要な情報を盛り込むことができて便利です。一方で、多くの企業がこの枠組みを用いるため、自社らしさを打ち出すには工夫が必要となります。リニューアル時には、コンテンツの中に自社ならではの特徴や強みを盛り込み、オリジナルな統合報告書を目指しましょう。例えば、今の事業にたどり着くまでの変遷をストーリーで伝える歴史ページや、自社の強みで社会課題を解決した事例を紹介するプロジェクトページなどが挙げられます。もしくは、強固なサプライチェーンがあればそれに焦点を当てたページも良さそうです。価値創造プロセスを描く際には、オクトパスモデルを参考にしつつも、自社の事業をイメージしたイラストや写真を用いたり、理念を強調したりして、独自性が出るような図解を制作するとよいでしょう。また、制作初年度は情報を集めることに終始してしまい、「必要な内容はとりあえず網羅されている冊子」になりがちです。その結果、掲載されているコンテンツの中で何が重要なのかわからず、読みにくいものになっている可能性があります。次年度以降は内容がある程度集まっている状態からスタートできるので、まずは優先順位をつけることから始め、自社の価値創造の全体像がわかるよう、1つのストーリーとして組み直していきましょう。③利用シーンを考えて、 最適なアウトプットの形を選択しよう統合報告書の形式を考えるうえで大切なのが、「どのような使い方をするのか」です。投資家に手渡したり、郵送で送ったりするならば、A4サイズで印刷し、PDFデータをWebに掲載するのがよいでしょう。ただ、近年は環境保護の観点から印刷せず、Webサイト上にのみ掲載している企業も増えてきています。その場合、A4縦型でPDFデータを作成すると、ブラウザで閲覧したときに見にくくなってしまいます。Webサイト上の掲載がメインならば、「インタラクティブPDF」形式で作成するのが最適です。これは、データ上にリンクを配置し、クリックすることで他のページに移動したり、別のWebサイトへジャンプしたりできる機能をつけたPDFのこと。(詳しくはこちらもご覧ください:統合報告書って印刷したほうがいい? 冊子にするメリット・デメリットを紹介!)読者が見たい情報にすぐアクセスできるため、大変便利です。まずは統合報告書の使い方を考え、最適なアウトプットを選びましょう。いかがでしょうか?統合報告書は、自社がどのように価値を創造しているかを伝える、とても重要な冊子です。今回の記事を参考に改良を重ね、あらゆるステークホルダーに伝わる1冊を目指しましょう! 関連記事 売れるお店、売れないお店。セグメント・ニッチ戦略で顧客を選ぶ勇気を!... これだけは知っておきたい!デザイナーのための「印刷知識 基本のき」 Webの壁[担当者に必要な基礎知識/その②]基本構造 4つのテーマから考える!社内報の理想的な構成とは
企業の財務情報と非財務情報を1冊にまとめた統合報告書。
日本では、2021年12月末までに700社以上が発行しており、その数は年々増え続けています。
統合報告書は「発行すれば終わり」ではありません。
毎年発行するなかで少しずつブラッシュアップしていくことが大切です。
リニューアルを考えるにあたり、例えば以下のようなお悩みはありませんか?
・支援会社に求めるサービスが変わってきた
・情報は詰め込んだものの、読まれる構成になっているか不安
・毎年同じ見せ方になってしまい、マンネリになっている
・印刷するのをやめて、Webサイト上での公開のみにしたい
この記事では、これらの悩みを解決するために見直すべき3つのポイントをご紹介します。
①自社の制作フェーズに合った支援会社を見つけよう
②コンテンツを見直すときは「自社らしさ」と「重要度」に気をつけよう
③利用シーンを考えて、最適なアウトプットの形を選択しよう
それでは、それぞれ見ていきましょう!
①自社の制作フェーズに合った支援会社を見つけよう
そもそも統合報告書の制作には、大きく分けて2つの段階があります。
1つ目の「明文化」フェーズは、マテリアリティの特定やESG視点での情報整理といった、冊子に入れるコンテンツを用意する段階。
社会課題に対して、自社のあるべき姿をイメージしながら事業の全体像をあらためて考える必要があり、コンサルティングが得意な支援会社に協力を依頼します。
一方、「具現化」フェーズは、明文化フェーズで集めた情報をもとに、ページ構成や見せ方を考える段階です。
ここでは、企画・表現力に優れた支援会社による、高度なクリエイティブスキルが求められます。
過去に統合報告書を発行しているのなら、おそらくフェーズ1の「明文化」は完了していて、フェーズ2の「具現化」に課題を感じている場合が多いはず。
フェーズに適した支援会社を選ぶことが、リニューアル成功への近道です。
なお、支援会社は主に、「売る・考える・創る・造る」という4つの機能のいずれかを持っています。
例えば、広告代理店や編集会社は、「売る=営業」機能に強みがある会社です。
IRコンサル会社が強いのは「考える=構想」部分で、デザイン会社は「創る=開発」が得意分野。
最後の「造る=生産」に強いのは、印刷会社です。
自社の課題や制作体制に合わせて、最適なパートナー会社を見つけましょう。
②コンテンツを見直すときは
「自社らしさ」と「重要度」に気をつけよう
統合報告書では、財務・非財務情報をしっかり開示することが大切です。
そのためのコンテンツの洗い出しに使えるのが、IIRCの「国際統合報告フレームワーク」や経済産業省の「価値協創ガイダンス」といったフレームワーク。
初めて制作する際は、これらのフレームワークに沿って作ると、必要な情報を盛り込むことができて便利です。
一方で、多くの企業がこの枠組みを用いるため、自社らしさを打ち出すには工夫が必要となります。
リニューアル時には、コンテンツの中に自社ならではの特徴や強みを盛り込み、オリジナルな統合報告書を目指しましょう。
例えば、今の事業にたどり着くまでの変遷をストーリーで伝える歴史ページや、自社の強みで社会課題を解決した事例を紹介するプロジェクトページなどが挙げられます。
もしくは、強固なサプライチェーンがあればそれに焦点を当てたページも良さそうです。
価値創造プロセスを描く際には、オクトパスモデルを参考にしつつも、自社の事業をイメージしたイラストや写真を用いたり、理念を強調したりして、独自性が出るような図解を制作するとよいでしょう。
また、制作初年度は情報を集めることに終始してしまい、「必要な内容はとりあえず網羅されている冊子」になりがちです。
その結果、掲載されているコンテンツの中で何が重要なのかわからず、読みにくいものになっている可能性があります。
次年度以降は内容がある程度集まっている状態からスタートできるので、まずは優先順位をつけることから始め、自社の価値創造の全体像がわかるよう、1つのストーリーとして組み直していきましょう。
③利用シーンを考えて、
最適なアウトプットの形を選択しよう
統合報告書の形式を考えるうえで大切なのが、「どのような使い方をするのか」です。
投資家に手渡したり、郵送で送ったりするならば、A4サイズで印刷し、PDFデータをWebに掲載するのがよいでしょう。
ただ、近年は環境保護の観点から印刷せず、Webサイト上にのみ掲載している企業も増えてきています。
その場合、A4縦型でPDFデータを作成すると、ブラウザで閲覧したときに見にくくなってしまいます。
Webサイト上の掲載がメインならば、「インタラクティブPDF」形式で作成するのが最適です。
これは、データ上にリンクを配置し、クリックすることで他のページに移動したり、別のWebサイトへジャンプしたりできる機能をつけたPDFのこと。
(詳しくはこちらもご覧ください:統合報告書って印刷したほうがいい? 冊子にするメリット・デメリットを紹介!)
読者が見たい情報にすぐアクセスできるため、大変便利です。
まずは統合報告書の使い方を考え、最適なアウトプットを選びましょう。
いかがでしょうか?
統合報告書は、自社がどのように価値を創造しているかを伝える、とても重要な冊子です。
今回の記事を参考に改良を重ね、あらゆるステークホルダーに伝わる1冊を目指しましょう!