株主通信IR/CSR 【マンネリレスキュー 株主通信編】株主通信、いつも同じ内容になっていませんか? 22.05.09 年に1、2回、個人投資家に向けて郵送する株主通信。面会する機会のある機関投資家と違い、総会を除けば個人投資家との唯一の接点となる重要なツールです。専門知識の少ないターゲットに向けて、自社の事業や現況についてわかりやすくまとめているので、IRイベントで配布したり、求職者への説明資料にしたりと、さまざまな場面で活用することもできます。しかし、長年発行するうちに、コンテンツやデザインがマンネリになりやすいツールでもあります。この記事では、株主通信のマンネリ化から脱するために必要な考え方と、いくつかのアイデアをご紹介します。株主通信“マンネリ化”の原因とは?そもそも、なぜ株主通信はマンネリ化してしまうのでしょうか?代表的な理由として、以下の3つが考えられます。① ほかの業務で忙しく、株主通信になかなか手がまわらない上記で述べたように、他の業務に時間を取られてしまい、株主通信に手がまわらないことはよくあります。IR担当者は常にさまざまな仕事を抱えているため、優先順位が低いツール制作は後回しになりがちです。「検討する時間がないから、今回はとりあえず同じコンテンツとレイアウトでいこう……」このような考え方が常習化した結果、いつの間にか株主通信がマンネリ化してしまうのです。② 「例年通りで問題ない」と思い込んでいる個人投資家の意見を聞ける機会は、そう多くないのが現実です。また、株主通信にアンケートを設けても、全員が回答してくれるとは限りません。「指摘が特にないということは、今のままで問題ないんだな」と思ってしまうのは、無理のない話です。しかし、問題がないから指摘しないのではなく、単に読まれていないだけの可能性もあります。その場合は、読みたくなるような株主通信を目指してアップデートしなければならないのです。③ 「株主通信はこうでないといけない」という考えに囚われている株主通信には「よくあるページ構成」や「よくあるデザイン」が存在します。それゆえ、勉強熱心な人ほど「株主通信はこうでないといけない」と考えてしまいがちです。しかし、そもそも発行自体が義務付けられていないツール。デザインやコンテンツも自由に制作して問題ありません。むしろ、自社のカラーが表れているほうが他社と差別化でき、株主としても手に取ってみたくなります。単調でありきたりな冊子よりも、読み手の心をつかむようなものをつくることが大切です。いかがでしょうか?1つでも思い当たる項目があれば、マンネリ化解消にむけて取り組んでみるとよいでしょう。特に個人投資家は、株主通信のデザインや体裁など、内容以外の印象による影響も受けやすいため、いつも同じだと「工夫がない企業だ」と思われかねません。個人投資家が興味を持ったり、親近感を抱いたりできるコンテンツ、楽しそうに見せるデザインの工夫が必要です。ファン株主が増えて長期保有してもらえれば、株価の安定にもつながります。では、どんなコンテンツ、どんなデザインがよいのでしょうか?次からは、脱マンネリに向けてのヒントをご紹介します。株主通信にオススメなコンテンツのアイデア5選① “熱意ある”トップメッセージ個人投資家は、機関投資家よりも「想い」を重視するのが特徴です。特に、社長が発する言葉には関心を持っており、その人柄や「会社をよくしていきたい」という想いに共感します。「この社長が経営する会社なら応援したい!」と思ってもらえるようなメッセージを発信できるようにしましょう。そのためには、決算短信の要約で済ませるのではなく、今後の戦略に対する自信や熱意、会社への想いが伝わる、人間味あふれる文章のほうが有効です。② 事業全体を表すイラストと解説個人投資家の中には株価だけを見て売買を決める人もいます。つまり、会社の事業の詳細を把握しないまま投資している人が一定数いるのです。特に、生活になじみが薄いBtoB企業の場合、事業内容を文章で説明されてもイメージしにくいでしょう。そんなときは、例えばイラストを使って「実は生活のこんなところで使われている製品をつくっています」と説明すると、意外性から興味を持ってもらうことができます。このとき、専門用語はなるべく使わず、わかりやすい説明を心がけるのがポイントです。また、1つの事業部を毎回ピックアップし、解説する連載を企画するのも良いでしょう。業務の内容や実績、戦略を、部長や社員が説明。株主総会や各種資料からは見えづらい現場の様子を伝えることで、会社の「血の通った部分」を見せることができます。③ ESGに関する内容個人投資家にも少しずつ浸透してきた「ESG」の考え方。投資判断を行う際の材料として、ESGに関する取り組みを考慮する動きも出てきており、関心は年々高まっています。無理やりひねり出す必要はありませんが、もしも会社として取り組んでいる事例があれば、紹介しない手はありません。特集として取り上げるほかにも、毎号の連載で成果報告をすることで、継続性をアピールするのも良い方法です。④ 社員インタビュー働く社員へのインタビューを連載するのも、面白いコンテンツになります。「こんな社員が熱意をもって働いている!」ということを伝えれば、個人投資家にも親近感が生まれます。例えば、企業理念が浸透していることがわかるようなメッセージを掲載。もしくは、社内の制度を活用して自分らしく働く社員の生の声を載せてもよいかもしれません。生き生きと働ける環境があることは、持続可能な会社であるアピールにもつながります。⑤ 関連ニュースのわかりやすい解説販売している商品や取り組んでいる事業のニーズが高まりそうな場合、話題のニュースと絡めて将来性があることをアピールするとよいでしょう。市場規模の拡大予測などと合わせてグラフにして紹介すれば、見た目も華やかに、わかりやすくなります。ニーズをどのように取り込むかの戦略と一緒に伝えることで、個人投資家に「この会社は今後も伸びそうだ」と思ってもらえれば、長期保有につながるはずです。ここまで、コンテンツのアイデアをお伝えしました。次からは見方を変えて、デザインのポイントをご紹介します。ちょっと違う株主通信になるデザインのポイント4選ここでは例として、事業紹介ページについて考えてみましょう。例えば、ありがちなデザインとしてはこのようなものが挙げられます。文字ばかりで、あまり読みたいという気にはなれませんね。しかし、少し工夫するだけで、同じ内容でも「ちょっと読んでみようかな」と興味を持ってもらうことは可能です。① イラストを使う例えば、このようにイラストを使ってみると、文字だけのときよりもイメージがつかみやすくなります。ページの雰囲気もポップになり、一味違う株主通信になるでしょう。② 写真を大きく使ったり、多用する上記で紹介したイラストを使う場合、イラストレーターに依頼する必要があり、コストが増加します。「そこまでお金はかけられないけど、少しでもわかりやすくしたい……」そんなときには、写真を有効活用しましょう。大きく見せたり、いくつもの写真を使ったりするだけでも、文章を読む抵抗感を減らすことができます。③ クイズ形式、Q&A形式にする単調な文章ではなく、クイズ形式にしてみるのもひとつの工夫です。読み手はクイズに答えるために、普段よりも真剣に文章を読んでくれるようになります。また、個人投資家が知りたいであろう事項をQ&A形式にするのもオススメ。「これが知りたかったんだよ」と共感してもらえれば、しめたものです。④ 数字やグラフで見せる最後は数字やグラフで見せる方法です。やはり、客観的なデータである数字は説得力があります。また、グラフにすれば一目で言いたいことが伝わりやすくなります。データが手元にある場合は、有効活用してみましょう。いかがでしょうか。「読みたい!」と思ってもらえる株主通信を目指して、今回ご紹介したアイデアをぜひ取り入れてみてくださいね! 関連記事 提案コンペで、本当に良い制作会社を選ぶことができるのかを考えてみる 統合報告書はじめの一歩vol.01 共に歩むパートナーを決めよう!支... 課題が山積み! Webサイトの改訂 ~Webサイトの目的を設定しよう... インナーブランディングのための秘密兵器「理念ブック」とは!?【後編】...
年に1、2回、個人投資家に向けて郵送する株主通信。
面会する機会のある機関投資家と違い、総会を除けば個人投資家との唯一の接点となる重要なツールです。
専門知識の少ないターゲットに向けて、自社の事業や現況についてわかりやすくまとめているので、IRイベントで配布したり、求職者への説明資料にしたりと、さまざまな場面で活用することもできます。
しかし、長年発行するうちに、コンテンツやデザインがマンネリになりやすいツールでもあります。
この記事では、株主通信のマンネリ化から脱するために必要な考え方と、いくつかのアイデアをご紹介します。
株主通信“マンネリ化”の原因とは?
そもそも、なぜ株主通信はマンネリ化してしまうのでしょうか?
代表的な理由として、以下の3つが考えられます。
① ほかの業務で忙しく、株主通信になかなか手がまわらない
上記で述べたように、他の業務に時間を取られてしまい、株主通信に手がまわらないことはよくあります。
IR担当者は常にさまざまな仕事を抱えているため、優先順位が低いツール制作は後回しになりがちです。
「検討する時間がないから、今回はとりあえず同じコンテンツとレイアウトでいこう……」
このような考え方が常習化した結果、いつの間にか株主通信がマンネリ化してしまうのです。
② 「例年通りで問題ない」と思い込んでいる
個人投資家の意見を聞ける機会は、そう多くないのが現実です。
また、株主通信にアンケートを設けても、全員が回答してくれるとは限りません。
「指摘が特にないということは、今のままで問題ないんだな」と思ってしまうのは、無理のない話です。
しかし、問題がないから指摘しないのではなく、単に読まれていないだけの可能性もあります。
その場合は、読みたくなるような株主通信を目指してアップデートしなければならないのです。
③ 「株主通信はこうでないといけない」という考えに囚われている
株主通信には「よくあるページ構成」や「よくあるデザイン」が存在します。
それゆえ、勉強熱心な人ほど「株主通信はこうでないといけない」と考えてしまいがちです。
しかし、そもそも発行自体が義務付けられていないツール。
デザインやコンテンツも自由に制作して問題ありません。
むしろ、自社のカラーが表れているほうが他社と差別化でき、株主としても手に取ってみたくなります。
単調でありきたりな冊子よりも、読み手の心をつかむようなものをつくることが大切です。
いかがでしょうか?
1つでも思い当たる項目があれば、マンネリ化解消にむけて取り組んでみるとよいでしょう。
特に個人投資家は、株主通信のデザインや体裁など、内容以外の印象による影響も受けやすいため、いつも同じだと「工夫がない企業だ」と思われかねません。
個人投資家が興味を持ったり、親近感を抱いたりできるコンテンツ、楽しそうに見せるデザインの工夫が必要です。
ファン株主が増えて長期保有してもらえれば、株価の安定にもつながります。
では、どんなコンテンツ、どんなデザインがよいのでしょうか?
次からは、脱マンネリに向けてのヒントをご紹介します。
株主通信にオススメなコンテンツのアイデア5選
① “熱意ある”トップメッセージ
個人投資家は、機関投資家よりも「想い」を重視するのが特徴です。
特に、社長が発する言葉には関心を持っており、その人柄や「会社をよくしていきたい」という想いに共感します。
「この社長が経営する会社なら応援したい!」と思ってもらえるようなメッセージを発信できるようにしましょう。
そのためには、決算短信の要約で済ませるのではなく、今後の戦略に対する自信や熱意、会社への想いが伝わる、人間味あふれる文章のほうが有効です。
② 事業全体を表すイラストと解説
個人投資家の中には株価だけを見て売買を決める人もいます。つまり、会社の事業の詳細を把握しないまま投資している人が一定数いるのです。
特に、生活になじみが薄いBtoB企業の場合、事業内容を文章で説明されてもイメージしにくいでしょう。
そんなときは、例えばイラストを使って「実は生活のこんなところで使われている製品をつくっています」と説明すると、意外性から興味を持ってもらうことができます。
このとき、専門用語はなるべく使わず、わかりやすい説明を心がけるのがポイントです。
また、1つの事業部を毎回ピックアップし、解説する連載を企画するのも良いでしょう。
業務の内容や実績、戦略を、部長や社員が説明。
株主総会や各種資料からは見えづらい現場の様子を伝えることで、会社の「血の通った部分」を見せることができます。
③ ESGに関する内容
個人投資家にも少しずつ浸透してきた「ESG」の考え方。
投資判断を行う際の材料として、ESGに関する取り組みを考慮する動きも出てきており、関心は年々高まっています。
無理やりひねり出す必要はありませんが、もしも会社として取り組んでいる事例があれば、紹介しない手はありません。
特集として取り上げるほかにも、毎号の連載で成果報告をすることで、継続性をアピールするのも良い方法です。
④ 社員インタビュー
働く社員へのインタビューを連載するのも、面白いコンテンツになります。
「こんな社員が熱意をもって働いている!」ということを伝えれば、個人投資家にも親近感が生まれます。
例えば、企業理念が浸透していることがわかるようなメッセージを掲載。
もしくは、社内の制度を活用して自分らしく働く社員の生の声を載せてもよいかもしれません。
生き生きと働ける環境があることは、持続可能な会社であるアピールにもつながります。
⑤ 関連ニュースのわかりやすい解説
販売している商品や取り組んでいる事業のニーズが高まりそうな場合、話題のニュースと絡めて将来性があることをアピールするとよいでしょう。
市場規模の拡大予測などと合わせてグラフにして紹介すれば、見た目も華やかに、わかりやすくなります。
ニーズをどのように取り込むかの戦略と一緒に伝えることで、個人投資家に「この会社は今後も伸びそうだ」と思ってもらえれば、長期保有につながるはずです。
ここまで、コンテンツのアイデアをお伝えしました。
次からは見方を変えて、デザインのポイントをご紹介します。
ちょっと違う株主通信になるデザインのポイント4選
ここでは例として、事業紹介ページについて考えてみましょう。
例えば、ありがちなデザインとしてはこのようなものが挙げられます。
文字ばかりで、あまり読みたいという気にはなれませんね。
しかし、少し工夫するだけで、同じ内容でも「ちょっと読んでみようかな」と興味を持ってもらうことは可能です。
① イラストを使う
例えば、このようにイラストを使ってみると、文字だけのときよりもイメージがつかみやすくなります。
ページの雰囲気もポップになり、一味違う株主通信になるでしょう。
② 写真を大きく使ったり、多用する
上記で紹介したイラストを使う場合、イラストレーターに依頼する必要があり、コストが増加します。
「そこまでお金はかけられないけど、少しでもわかりやすくしたい……」
そんなときには、写真を有効活用しましょう。
大きく見せたり、いくつもの写真を使ったりするだけでも、文章を読む抵抗感を減らすことができます。
③ クイズ形式、Q&A形式にする
単調な文章ではなく、クイズ形式にしてみるのもひとつの工夫です。
読み手はクイズに答えるために、普段よりも真剣に文章を読んでくれるようになります。
また、個人投資家が知りたいであろう事項をQ&A形式にするのもオススメ。
「これが知りたかったんだよ」と共感してもらえれば、しめたものです。
④ 数字やグラフで見せる
最後は数字やグラフで見せる方法です。
やはり、客観的なデータである数字は説得力があります。
また、グラフにすれば一目で言いたいことが伝わりやすくなります。
データが手元にある場合は、有効活用してみましょう。
いかがでしょうか。
「読みたい!」と思ってもらえる株主通信を目指して、今回ご紹介したアイデアをぜひ取り入れてみてくださいね!