アドバンド株式会社

新卒採用の新ルール ~市場の今 ~【前編】

17.11.16
新卒採用の新ルール ~市場の今 ~【前編】

2018年卒の新卒採用は、去年に引き続き「売り手市場」の様相を見せた。
一方、企業での人手不足も深刻な問題に発展、倒産にまで追い込まれる会社もある。
今回は、新卒採用の基本や気をつけるべきポイントをご紹介。
「なぜ新卒採用にこだわるのか?」「会社説明会では何を話せば……」
そんな疑問にお答えしよう。


忍び寄る人手不足の危機と勢い止まらぬ新卒採用市場の今。

帝国データバンクによれば、従業員が離職したり採用が
難航したことで人手を確保できずに倒産に追い込まれた、
いわゆる「人手不足倒産」は、2017年上期で49件に上った。
倒産件数全体に占める割合はまだまだわずかなものの、
緩やかに増加しつつあるという。中小企業にとって今すぐにも
対策を取るべき緊急性の高い問題、それが人手不足なのである。

ところが、採用市場でも厳しい状況が続いている。
2017年5月30日、厚生労働省は4月の有効求人倍率が1.48倍であったことを発表した。
1974年2月以来43年ぶりの高水準で、この数値はバブル経済期をも超えている。
さらに大卒生に限定すれば、求人倍率は1.78倍にまで上昇。
「売り手市場」は、一向に収まる気配を見せない。

さらに、こんなデータもある。就職みらい研究所によると、
面接解禁日である6月1日時点で、既に内定を取得していた学生は、
61.9%にまで達していたそうだ。
また、1日には73.6%の学生が就職活動を継続していたが、
15日になると55.5%にまで大きく減少。つまり全体のうちおよそ半数が、
すでに就職活動を終了していることになる。
夏以降に採用活動を開始しようと考えていた企業にとっては大打撃だったはず。



企業が新卒採用にこだわる理由とは?

ここまで厳しい様相を見せる新卒採用市場だが、多くの企業が
経験者だけではなく新卒にもこだわるのは何故だろうか。
そこには、いくつか理由がある。

まず挙げられるのが、均質な労働力をまとめて確保できる点だ。
日本の学生は3月に大学や専門学校などを卒業し、
4月から働き始めるパターンが一般的。
全員まとめて教育できるため、一人当たりの教育コストを
下げられるというメリットがある。
ポテンシャルが高く他社の企業文化に染まっていない学生を育成することで、
企業の継続的な発展に不可欠な存在へと成長し、将来的には会社の中核を担う
戦力としての活躍が期待できる。



若い社員が入社することで、既存社員に与える影響も見逃せない。
新入社員への教育を通じて、自身の経験を客観的に振り返る機会が自然と発生する。
また、バブル崩壊後には多くの企業が新卒採用を抑制したが、その後ベテランと
若手をつなぐ役割を担う中堅層が減少。これにより、業務が偏ったり、
企業文化が継承されないことに悩まされた企業も少なくない。
技術が受け継がれず、定年を迎えた社員をシルバー人材として
再雇用する事態となっている。
新卒を毎年定期的に採用し、社員の年代バランスを維持することには、
組織力の向上のためにも大きな意義があるのだ。

後編へ続く。


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