販売促進企業経営 アフターコロナの突破口を想像できるか?【営業活動編】 21.01.25 2020年末、各国でワクチン接種がスタートしたが、たとえコロナ感染が終息したとしても、以前の状態に戻ることはないでしょう。また、ニューノーマルは人々の生活や社会だけでなく、企業活動にも根づきつつあります。急速に進化を遂げるDXをコロナ禍が後押しし、いまやインバウンドセールスが主戦場となりました。①ウェブサイトで顧客にとって有益なコンテンツを発信する②その記事やページへ、多くの優良顧客を誘導する③たどり着いた見込客に足跡を残してもらってリスト化④商談本番の前、個々に求める情報を提供し啓蒙するこのフローを見てわかるように、インバウンドセールスの特徴は「商談の前に、商談はほぼ完了」しています。これが、以前の営業スタイルとの最も大きなちがいです。①ウェブサイトで顧客にとって有益なコンテンツを発信するここで言うコンテンツは「企業側が言いたいこと」ではなく、「顧客が知りたいこと」です。製品・サービスそのものではなく、商品を購入して得られるメリットやベネフィットを指します。ユーザーにとってのお役立ち情報や、事例をふまえた導入メリットを掲載したいところ。コーポレートサイトだけでなく、有益な情報を定期的に発信するオウンドメディア、1つの商品に特化したサービスサイトを作成するのも効果的です。②その記事やページへ、多くの優良顧客を誘導する集客といわれるステップです。検索順位で上位表示するコンテンツSEO、検索ワードに沿った広告を表示させるリスティング広告があります。後者の着地点として作成するランディングページは、ウェビナー、マス広告、プレスリリース、口コミ・紹介からの受け皿としても機能させましょう。また、O2O(オンライン・トゥ・オフライン)も重要。デジタルの広告から販売店へ、あるいはリアルな接点からウェブサイトへと、シナジーを高めることができます。フェイスブックやユーチューブなど、SNS広告を活用する企業も増えています。③たどり着いた見込客に足跡を残してもらってリスト化ここでは、フォームなどを使って個人情報を入力してもらう必要があります。これにはオファーが有効です。実は、「問い合わせ」はハードルが高いもの。見知らぬ企業に対して、長文を入力し、自社の悩みや課題を告白しなければならないからです。そのため、無料でお届けする「資料請求」や、ダウンロードしてもらう「ホワイトペーパー」がおすすめ。フォームから送信された顧客情報は、MA(マーケティングオートメーション)があれば効率的に管理できます。④商談本番の前、個々に求める情報を提供し啓蒙するリスト化した見込客は、全員が「いますぐ客」ではありません。むしろ多くは「そのうち客」のため、将来的に商談が成立するまでは教育・啓蒙する必要があります。これをリードナーチャリングといいます。例えば、定期的にオウンドメディアの関連記事や、見込客が興味を惹きそうな導入事例などをメールで送るのです。手間はかかるものの、接点の維持・向上には効果的です。成功はシナリオづくりからリスティング広告の出稿、オウンドメディアの運営、MA導入など、個々の施策は「戦術」で、一つひとつが秀でていても全体最適はできません。これには全体像を俯瞰するシナリオづくり、つまり「戦略」が必要です。ランチェスター経営を生み出したオペレーションズ・リサーチの考え方に基づくと、戦略は戦術の2倍の効果があります。昨今のコンバージョンに偏った戦術では、営業活動が硬直化しがち。当社が提唱する「販促の設計図」のように、まずは商品ごとの売り方の全体像を描くのが大切です。また、DXの推進に対して異論はありませんが、デジタルにどのような役割を補完させるかは、考える余地があります。むしろ、ウェブサイトといえども、ヒューマンタッチを意識したUIやUXへの期待が高まっているからです。さらに言えば、デジタル化が注目される時代だからこそ、印刷物など実体のあるメディアを活用するほうが、効果的なケースもあります。成約した顧客への対応は、営業担当者にゆだねられることが多いですが、アップセルやクロスセルなどに力を注ぎ、機会損失の発生は避けたいところです。ここではやはり、人的なフォローが大切。日本には、「営業はめっぽう強いが、マーケティングは苦手」というB2B企業が多くあります。デジタルで集客し、アナログで成約する。これらをどうミックスさせるかが、今後の課題となるはずです。さらに進化する企業経営コロナ禍を経て、今後も企業の経営環境は変化が続くでしょう。ひとつ例を挙げると、ウェブ商談が主流になると、容易に営業のレベルアップを図れるようになります。相手の許可を得て、できる営業担当者の商談を録画し、新人の教育マニュアルとして活用するのです。これまでの対面営業では、新人はベテランに同行して「見て学ぶ」のが普通でした。これでは先輩によってレベルにばらつきがあるため、本人が成長するのに時間もかかります。商談の成功事例をデータ化することで、優秀なセールスパーソンのノウハウを共有することが可能になりました。また、リモートワークの浸透により、これまで遅々として進まなかった働き方改革が前進したのも事実。育児や介護で出勤ができなくても、仕事を続けられる環境が整ったのは「不幸中の幸い」です。転職市場の変化も見逃せません。リモートワークを前提に人材を採用すれば、支社や拠点を持たなくても全国展開できます。必ずしも8時間働く必要はなく、成果報酬で勤務するスタイルが定着するかもしれません。先にパソナグループの本社移転の話を述べましたが、災害リスクの低減につながれば、企業のBCPも強化できます。サステナブルな社会の実現に、一歩近づくことでしょう。営業の人件費が減り、展示会などコストのかかる広告宣伝費が減れば、さらにDXへの投資がしやすくなるはずです。ウェブサイト・印刷物・映像といったマルチメディア、PC・スマホなどマルチデバイス、これに対面・ウェブ商談のマルチプレイスが加わりました。ますますインバウンドセールスの戦略が重要性を増すことになります。ひょっとしたら数年後、任天堂の「あつまれ どうぶつの森」のように、バーチャル空間を活用したデジタルオフィスが登場するかも知れません。2021年からの企業経営には、さらなる飛躍が望まれることでしょう。 関連記事 【目からウロコの深イイ話】①人も企業も長生き、その秘訣は日本独自の文... Webページが更新されないときは、スーパーリロード(フルリロード)を... LPのコンバージョンアップの秘訣は、コーポレートサイトにあった! 顧客管理 IT活用のススメ ~セールス編①~
2020年末、各国でワクチン接種がスタートしたが、たとえコロナ感染が終息したとしても、以前の状態に戻ることはないでしょう。また、ニューノーマルは人々の生活や社会だけでなく、企業活動にも根づきつつあります。急速に進化を遂げるDXをコロナ禍が後押しし、いまやインバウンドセールスが主戦場となりました。
①ウェブサイトで顧客にとって有益なコンテンツを発信する
②その記事やページへ、多くの優良顧客を誘導する
③たどり着いた見込客に足跡を残してもらってリスト化
④商談本番の前、個々に求める情報を提供し啓蒙する
このフローを見てわかるように、インバウンドセールスの特徴は「商談の前に、商談はほぼ完了」しています。これが、以前の営業スタイルとの最も大きなちがいです。
①ウェブサイトで顧客にとって有益なコンテンツを発信する
ここで言うコンテンツは「企業側が言いたいこと」ではなく、「顧客が知りたいこと」です。製品・サービスそのものではなく、商品を購入して得られるメリットやベネフィットを指します。ユーザーにとってのお役立ち情報や、事例をふまえた導入メリットを掲載したいところ。コーポレートサイトだけでなく、有益な情報を定期的に発信するオウンドメディア、1つの商品に特化したサービスサイトを作成するのも効果的です。
②その記事やページへ、多くの優良顧客を誘導する
集客といわれるステップです。検索順位で上位表示するコンテンツSEO、検索ワードに沿った広告を表示させるリスティング広告があります。後者の着地点として作成するランディングページは、ウェビナー、マス広告、プレスリリース、口コミ・紹介からの受け皿としても機能させましょう。また、O2O(オンライン・トゥ・オフライン)も重要。デジタルの広告から販売店へ、あるいはリアルな接点からウェブサイトへと、シナジーを高めることができます。フェイスブックやユーチューブなど、SNS広告を活用する企業も増えています。
③たどり着いた見込客に足跡を残してもらってリスト化
ここでは、フォームなどを使って個人情報を入力してもらう必要があります。これにはオファーが有効です。実は、「問い合わせ」はハードルが高いもの。見知らぬ企業に対して、長文を入力し、自社の悩みや課題を告白しなければならないからです。そのため、無料でお届けする「資料請求」や、ダウンロードしてもらう「ホワイトペーパー」がおすすめ。フォームから送信された顧客情報は、MA(マーケティングオートメーション)があれば効率的に管理できます。
④商談本番の前、個々に求める情報を提供し啓蒙する
リスト化した見込客は、全員が「いますぐ客」ではありません。むしろ多くは「そのうち客」のため、将来的に商談が成立するまでは教育・啓蒙する必要があります。これをリードナーチャリングといいます。例えば、定期的にオウンドメディアの関連記事や、見込客が興味を惹きそうな導入事例などをメールで送るのです。手間はかかるものの、接点の維持・向上には効果的です。
成功はシナリオづくりから
リスティング広告の出稿、オウンドメディアの運営、MA導入など、個々の施策は「戦術」で、一つひとつが秀でていても全体最適はできません。これには全体像を俯瞰するシナリオづくり、つまり「戦略」が必要です。ランチェスター経営を生み出したオペレーションズ・リサーチの考え方に基づくと、戦略は戦術の2倍の効果があります。昨今のコンバージョンに偏った戦術では、営業活動が硬直化しがち。当社が提唱する「販促の設計図」のように、まずは商品ごとの売り方の全体像を描くのが大切です。また、DXの推進に対して異論はありませんが、デジタルにどのような役割を補完させるかは、考える余地があります。むしろ、ウェブサイトといえども、ヒューマンタッチを意識したUIやUXへの期待が高まっているからです。さらに言えば、デジタル化が注目される時代だからこそ、印刷物など実体のあるメディアを活用するほうが、効果的なケースもあります。
成約した顧客への対応は、営業担当者にゆだねられることが多いですが、アップセルやクロスセルなどに力を注ぎ、機会損失の発生は避けたいところです。ここではやはり、人的なフォローが大切。日本には、「営業はめっぽう強いが、マーケティングは苦手」というB2B企業が多くあります。デジタルで集客し、アナログで成約する。これらをどうミックスさせるかが、今後の課題となるはずです。
さらに進化する企業経営
コロナ禍を経て、今後も企業の経営環境は変化が続くでしょう。
ひとつ例を挙げると、ウェブ商談が主流になると、容易に営業のレベルアップを図れるようになります。相手の許可を得て、できる営業担当者の商談を録画し、新人の教育マニュアルとして活用するのです。これまでの対面営業では、新人はベテランに同行して「見て学ぶ」のが普通でした。これでは先輩によってレベルにばらつきがあるため、本人が成長するのに時間もかかります。商談の成功事例をデータ化することで、優秀なセールスパーソンのノウハウを共有することが可能になりました。
また、リモートワークの浸透により、これまで遅々として進まなかった働き方改革が前進したのも事実。育児や介護で出勤ができなくても、仕事を続けられる環境が整ったのは「不幸中の幸い」です。転職市場の変化も見逃せません。リモートワークを前提に人材を採用すれば、支社や拠点を持たなくても全国展開できます。必ずしも8時間働く必要はなく、成果報酬で勤務するスタイルが定着するかもしれません。先にパソナグループの本社移転の話を述べましたが、災害リスクの低減につながれば、企業のBCPも強化できます。サステナブルな社会の実現に、一歩近づくことでしょう。
営業の人件費が減り、展示会などコストのかかる広告宣伝費が減れば、さらにDXへの投資がしやすくなるはずです。ウェブサイト・印刷物・映像といったマルチメディア、PC・スマホなどマルチデバイス、これに対面・ウェブ商談のマルチプレイスが加わりました。ますますインバウンドセールスの戦略が重要性を増すことになります。
ひょっとしたら数年後、任天堂の「あつまれ どうぶつの森」のように、バーチャル空間を活用したデジタルオフィスが登場するかも知れません。2021年からの企業経営には、さらなる飛躍が望まれることでしょう。