株主通信IR/CSRプランニング 過去~現在~未来の物語を伝え、株主の長期投資を促す株主通信とは!? 15.10.21 昨今、広報・IRの業務は難しい時代。“モノを作って売る”という単純な事業は少なく、ソリューション型の事業が増え、単一ではなく複数の事業を展開する企業が増加しています。未来が予測できない不透明な時代。当然、会社としてのビジョンも明確に打ち出しにくい現状があります。一方、株主や個人投資家が求める情報にも変化が見られます。財務諸表や業績推移などの定量情報だけではなく、経営者の魅力や社会貢献などを含めた企業価値、事業モデルのユニークさなど定性情報に関心が向き始めています。これにより、定期的に株主との接点を得るための「株主通信」にも工夫が必要です。株主を魅了する企画・構成のヒントをお伝えしたいと思います。財務情報や会社概要などは最小限にインターネットが普及してから、上場企業のIR活動の中心は印刷物からWebサイトが中心となりました。スピーディーに適時開示でき、特に財務情報や重要事項の告知など利便性も高いというメリットがあります。そのため、株主通信では従来のように、必ずしも財務情報を中心にする必要はありません。むしろ中長期ビジョンやブランディングなど、その企業の独自性をアピールすべきです。財務情報、株式・株主情報、会社概要などは最小限にとどめ、読み応えのある記事を中心に構成すると、Webサイトとのすみ分けもできます。ユニークかつインパクトのある表現株主通信の主な読者である個人投資家は高齢者が多く、しかも1つの企業だけではなく複数の企業に投資しているものです。特に決算期の重なる3月、第2四半期の9月にはほぼ同時期に、数多くの企業から株主通信が郵送されてきます。そのため他社と同じような体裁・内容では、記憶に残るようなアピールをすることができません。企業らしさを訴求する「ユニーク」で「インパクト」ある誌面づくりで株主にアピールし、企業ブランドを認知させ、株主の心をぐっとつかむ表現で伝えましょう。より具体性のある物語で伝える複数の事業を展開する企業の場合、株主通信においても全事業分野を網羅しようとすることが多いと思います。ところが、これでは抽象的な印象となってしまい、読者にとってあいまいな記憶しか残りません。そこで全事業分野を網羅するのはWebサイトに任せ、ページ数の限られた株主通信ではコンテンツを絞り込みます。トピックとなる出来事、ニュースバリューのある活動、今後の成長が見込めそうな有望事業などに特化して特集記事を構成。読者にとって読み応えがあり、印象深い誌面となります。読者の理解を助けるビジュアルを活用サービス・ソリューション系の事業を展開する企業の場合は、読者にとってビジネスモデルが理解しづらいという課題があります。これを克服するには、イラストやチャート、インフォグラフィックなどを用いて、分かりやすく表現する工夫が大切です。誰に対して、どのようなサービスを、どう差別化して展開しているかなど、企業の強みや特長への理解を助けるわけです。売上・利益など定量情報をグラフ化するのは常識ですが、これら定性情報もビジュアル化。分かりやすく見栄えの良い株主通信が制作できます。投資経験のある方なら分かると思いますが、投資する前はじっくりと投資先企業について検討を重ねるものです。株式情報誌や会社四季報、投資家向け説明会、そしてここではWebサイトが重要な役割を担います。ところが投資して株主となった後、株価をチェックすることはあっても、投資先のWebサイトに訪問することは多くありません。そこで既存株主に対しては株主通信が有効です。記憶に残り、ファンとして長期投資を促す重要なツールとなります。株主通信の品質向上と工夫により、株主・個人投資家だけでなく営業や採用の現場で活用する企業も増えています。せっかくコストと手間をかけて制作する株主通信。その企画や構成について再考してみてはいかがでしょうか。 関連記事 企業にとってSDGsが不可欠な理由 Vol.02 広報誌発行までのロードマップ ~4~ 【マンネリレスキュー 株主通信編】株主通信、いつも同じ内容になってい... 顧客管理 IT活用のススメ ~マーケティング編~
昨今、広報・IRの業務は難しい時代。
“モノを作って売る”という単純な事業は少なく、ソリューション型の事業が増え、単一ではなく複数の事業を展開する企業が増加しています。
未来が予測できない不透明な時代。
当然、会社としてのビジョンも明確に打ち出しにくい現状があります。
一方、株主や個人投資家が求める情報にも変化が見られます。
財務諸表や業績推移などの定量情報だけではなく、経営者の魅力や社会貢献などを含めた企業価値、事業モデルのユニークさなど定性情報に関心が向き始めています。
これにより、定期的に株主との接点を得るための「株主通信」にも工夫が必要です。
株主を魅了する企画・構成のヒントをお伝えしたいと思います。
財務情報や会社概要などは最小限に
インターネットが普及してから、上場企業のIR活動の中心は印刷物からWebサイトが中心となりました。
スピーディーに適時開示でき、特に財務情報や重要事項の告知など利便性も高いというメリットがあります。
そのため、株主通信では従来のように、必ずしも財務情報を中心にする必要はありません。
むしろ中長期ビジョンやブランディングなど、その企業の独自性をアピールすべきです。
財務情報、株式・株主情報、会社概要などは最小限にとどめ、読み応えのある記事を中心に構成すると、Webサイトとのすみ分けもできます。
ユニークかつインパクトのある表現
株主通信の主な読者である個人投資家は高齢者が多く、しかも1つの企業だけではなく複数の企業に投資しているものです。
特に決算期の重なる3月、第2四半期の9月にはほぼ同時期に、数多くの企業から株主通信が郵送されてきます。
そのため他社と同じような体裁・内容では、記憶に残るようなアピールをすることができません。
企業らしさを訴求する「ユニーク」で「インパクト」ある誌面づくりで株主にアピールし、企業ブランドを認知させ、株主の心をぐっとつかむ表現で伝えましょう。
より具体性のある物語で伝える
複数の事業を展開する企業の場合、株主通信においても全事業分野を網羅しようとすることが多いと思います。
ところが、これでは抽象的な印象となってしまい、読者にとってあいまいな記憶しか残りません。
そこで全事業分野を網羅するのはWebサイトに任せ、ページ数の限られた株主通信ではコンテンツを絞り込みます。
トピックとなる出来事、ニュースバリューのある活動、今後の成長が見込めそうな有望事業などに特化して特集記事を構成。
読者にとって読み応えがあり、印象深い誌面となります。
読者の理解を助けるビジュアルを活用
サービス・ソリューション系の事業を展開する企業の場合は、読者にとってビジネスモデルが理解しづらいという課題があります。
これを克服するには、イラストやチャート、インフォグラフィックなどを用いて、分かりやすく表現する工夫が大切です。
誰に対して、どのようなサービスを、どう差別化して展開しているかなど、企業の強みや特長への理解を助けるわけです。
売上・利益など定量情報をグラフ化するのは常識ですが、これら定性情報もビジュアル化。
分かりやすく見栄えの良い株主通信が制作できます。
投資経験のある方なら分かると思いますが、投資する前はじっくりと投資先企業について検討を重ねるものです。
株式情報誌や会社四季報、投資家向け説明会、そしてここではWebサイトが重要な役割を担います。
ところが投資して株主となった後、株価をチェックすることはあっても、投資先のWebサイトに訪問することは多くありません。
そこで既存株主に対しては株主通信が有効です。記憶に残り、ファンとして長期投資を促す重要なツールとなります。
株主通信の品質向上と工夫により、株主・個人投資家だけでなく営業や採用の現場で活用する企業も増えています。
せっかくコストと手間をかけて制作する株主通信。
その企画や構成について再考してみてはいかがでしょうか。