公開
2026/06/04

自由で自社らしい、非上場企業のための統合報告書

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目次

上場企業を中心に情報開示の動きが広がるなか、非上場企業でも統合報告書のような開示レポートを求める声が高まっています。自社の見えない価値をどう定義し、どのように伝えるべきか、将来につながる最適な発信方法を検討してみましょう。

より中長期的な視点で語る
非上場企業に求められる情報開示

目先の数字ではなく「企業の姿勢」を見る時代へ。非上場企業にも、ステークホルダーとの信頼を築く中長期的な情報開示が求められています!

コミュニケーションの戦略を考える第一歩は、これからの自社を支えてくれるステークホルダーの視点に立つことです。「情報開示は上場企業のもの」と思われがちですが、実は今、非上場企業の間でも開示レポートを求める声が急速に高まっています。背景にあるのは、非上場企業が置かれている個々の状況や、目指す方向性です。

これから上場を目指すにあたり、自社のビジネスの仕組みや強みを世の中に分かりやすく示したい企業

大手企業のバリューチェーンにおいて存在感を表したい企業

上場は廃止したものの、これまで通り取引先や顧客、従業員に対して、透明性の高い誠実な姿勢を伝え続けたい企業

このように、多くの企業が、数字だけでは伝わらない自社の全体像を語るツールを必要としているのです。不確実性の高い現代において、求職者や取引先、地域社会といったステークホルダーが本当に知りたいのは、目先の数字だけでは測れない「企業の姿勢」や「社会的な存在意義」です。自社の歩みと未来へのビジョンを主体的に共有し、強固な信頼関係を築くための「最強の自己紹介ツール」として、非上場企業が開示レポートを発行する意義は極めて大きいと言えます。

ストーリーを視覚化して見せる
非上場企業に取り入れてほしい定番企画

ステークホルダーに自社の真の価値を届けるには、他社には真似できない「自社らしさ」を伝える仕掛けが必要です。

では、実際にレポートを作成する場合、どのようなコンテンツを盛り込めばステークホルダーに自社の魅力が伝わるのでしょうか。大企業の統合報告書でよく用いられる定番の企画は、非上場企業のレポート作りでも大いに役立ちます。特に中長期の視点を伝える上で、おすすめの企画を4つほどご紹介します。

中長期的な視点で語る「トップメッセージ」

単なる過去の業績報告ではなく、経営者が「なぜこの事業をやっているのか」、そして「5年後、10年後にどのような社会を創りたいのか」を自身の言葉で語ります。「私たちは」「当社は」という組織としての発信に終始するのではなく、主語を「私」にして、経営の舵取りを担う当事者として自らの言葉で語る。そうすることで、短期的な市場の目に縛られない、本質的でブレない軸を社会に宣言し、読み手であるステークホルダーへ深く訴求することができます。

「マテリアリティ」の特定

顧客、地域社会、従業員など、幅広いステークホルダーへのアンケートや対話を通じて、自社が優先して取り組むべき重要課題を抽出します。自社が向き合うべき課題を客観的に整理するプロセスそのものこそ、企業の誠実さを裏付けることにつながります。

「価値創造プロセス」の図解

自社の活動がどう企業の持続的な成長につながるのかを、単なる言葉の羅列ではなく、イラストや図版も用いて視覚的に整理します。自社のもつ資本を活用し、独自の事業活動を通じて社会価値を生み出す流れを図解することで、初めて企業と接点を持つ人でも一目でビジネスモデルの本質を理解できるようになります。こうした事業や価値を生み出すフローへの理解が深まるため、結果として他社には真似できない「自社らしさ」を伝えることにもつながり、自社ならではの魅力を届ける上で大きな役割を果たします。

「外部ステークホルダー」との対談・座談会

顧客や取引先、あるいは外部の専門家を交え、「対外的な視点」から自社の取り組みや価値を語り合います。自社の一方的な発信にとどまらず、社外のリアルな評価や期待の声を掲載することで、レポート全体の客観性と信頼性を大きく高める効果が期待できます。

形式にとらわれない情報開示
目的や現状に合わせたレポートの選択肢

財務情報の開示が難しい……それなら、自社の現状や目的に合わせた「柔軟なレポート選び」で適切な情報開示をしましょう。

このような充実したコンテンツを盛り込み、最終的には「統合報告書」の発行を目指していきたいところですが、非上場企業が情報開示を検討する際、超えなければならない壁もあります。一般的に大手上場企業が発行する統合報告書は、詳細な財務情報と非財務情報を融合させて企業価値を伝えるものです。しかし非上場企業の場合、競合戦略の観点などから詳細な数字を開示することが難しい側面もあります。ただ、数字の全面開示が難しいからといって発信を諦める必要はありません。大切なのは、現在の開示目的に合わせて、まずは柔軟にレポートの選択肢を広げることです。

目的・課題に合わせて選ぶ報告書

経営者の志や中長期のビジョンを前面に出したい
サステナビリティレポート/ 独自のアニュアルレポート
社会・環境へのポジティブな変化・影響を可視化したい
インパクトレポート
経営資本である「人(採用・育成)」に特化したい
人的資本レポート

上記のような形からスタートすれば、財務情報の制約をクリアしつつ、企業の持続可能性を十分に語ることができます。なかでも昨今、特に注目を集めているのが「人的資本レポート」。企業の競争力の源泉である「人」に特化し、人材への投資や育成環境を深掘りすることからスタートするのもおすすめです。人材の獲得や定着に課題を抱えやすい中小・非上場企業にとって、採用候補者や自社の社員に向けた強力なアプローチとなり、将来的な統合報告書の発行に向けた確かな一歩となるでしょう。

伝えることで組織が変わる
情報の開示がもたらすポジティブな循環

まずは気楽にスタートし、3年ほどかけて自社らしい形へ。情報開示の取り組みは、外部への影響だけでなく、経営や組織にもポジティブな変化をもたらします。

情報開示の取り組みがもたらすメリットは、外部への発信だけにとどまりません。制作のプロセスにおいて、自社の取り組みを改めて言葉にし、ストーリーとして組み立てることは、経営理念を社内に浸透させる絶好の機会となります。実際に独自のレポートを発行している企業では、インナーブランディングや人材育成面での効果が見られるほか、非財務情報の開示姿勢が評価され、金融機関からの融資条件の優遇につながった実例もあるようです。こうしたレポートは法定開示ではない任意の発行物だからこそ、まずは気楽にスタートして問題ありません。最初から完璧を目指すのではなく、読者からのフィードバックを反映し、3年ほどをかけ、自社らしい形に近づけていくのが成功への近道です。外部環境の不確実性が高まる今、自社の価値を言語化し、外部に伝えていくことは、持続的な成長を続けるためにこれまで以上に重要となっています。まずは手元にあるデータや、自社が大切にしている「想い」を紡ぐことから、未来へ向けたコミュニケーションを始めてみませんか。

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